天敵のにおいに先天的恐怖、ネズミ遠ざける効果 忌避剤開発 

 天敵のにおいに先天的な恐怖を感じるほ乳類の本能を基に、ネズミなどの有害獣を効果的に遠ざける忌避剤を製造する技術を、財団法人大阪バイオサイエンス研究所(OBI、大阪府吹田市)の研究チームが開発した。既存の忌避剤は動物が匂いに慣れるほか、効果が弱いといった弱点があるが、今回の技術なら弱点がすべて克服されるという。

 開発したのはOBIの小早川令子氏、高(こう)氏夫妻を中心にした研究チーム。成果を生かし、昨年にベンチャー企業の脳科学香料(大阪府茨木市)を設立、今年中の商品化を目指している。

 これまで専門家の間では、ほ乳類はにおいを学習することで天敵を避けたりエサを見つけたりすると考えられてきた。小早川夫妻は、嗅覚に遺伝子操作を加えることでネコを怖がらないネズミを作り出すことに成功。ほ乳類の嗅覚に先天性を発見し、研究結果は2007年に科学誌ネイチャーに掲載された。

 さらに夫妻は、ネズミが天敵のネコやキツネのにおいをかぐと、脳内のストレス回路が強く活性化することを突き止めた。夫妻を中心とした研究チームは試行錯誤を重ね、ネズミの嗅覚を活性化させる効果があるとされるキツネの糞に含まれる物質「TMT」に比べ、10倍の強さを持つにおい分子の開発に成功した。

 TMTはネズミの一部にしか効果がなく、既存の忌避剤も動物の慣れや、効果の弱さといった弱点があるのに対し、今回開発したにおいでネズミは、かげばかぐほど恐怖の度合いが増す効果がみられたという。

 夫妻の研究は昨年3月、大阪商工会議所が中心となった「バイオビジネスコンペJAPAN」(審査委員長=岸本忠三・元阪大総長)でも「遺伝子レベルで忌避剤の効果を初めて証明した」と高く評価され、最優秀賞を受賞している。
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by eagles1988 | 2011-08-04 12:40